心筋梗塞や狭心症といった虚血性心疾患や心臓手術後の患者様では、心臓の機能低下や入院中の安静などが原因となり体力が低下します。そのため、退院後すぐには元の生活に戻れないことが多く、また日常の活動に不安や疑問をもつ患者様も多くおられます。このような方々に対して社会復帰、再発予防、生活の質(QOL)向上といった観点から疾病管理に関する正しい知識と方法を包括的に提供し、個々に抱える不安や疑問の解消をお手伝いするのが心臓リハビリテーションです。内容は以下の二つの軸によって構成されます。
① 運動療法:安全かつ効果的な運動療法を提供するため、心臓リハビリテーションに参加する患者に対して呼気ガス分析器を用いた心肺運動負荷試験を実施しています。この結果をもとに個別運動プログラムを作成し、自転車エルゴメータを用いた有酸素運動ならびに筋力増強運動を指導・管理しています。
② 患者教育:定期的な採血の実施により冠危険因子の評価および経時的変化をモニタリングしています。この結果をもとに服薬指導、食事指導、禁煙指導などといった患者教育を実施し、疾病に関する患者の知識と理解を高め、生活習慣の改善といった二次予防行動への動機づけを行っています。
心臓リハビリテーションでは医師と看護師、理学療法士といった医療スタッフが互いに連携・協力して日々の診療にあたっています。現在、主な対象は急性期の治療を終えて退院を控えた入院患者から、退院後の外来通院患者となっています。