今後増加の一途をたどることが予想されるACHD患者に対する循環器内科医師による診療は至急確立される必要があるが、ACHD患者を診る循環器内科側にはその準備がないのが現状である。また、小児科がこのまま管理を続けるのも現実的に困難である。小児科側としては、マンパワー不足、入院病棟の小児特異性、循環器以外を含め成人病一般に対する小児科医師の理解・経験不足など、非常に大きな問題が存在している。 また、早急に診療ガイドライン構築も必要だが、それに必要なevidence based medicine (EBM)が存在せず、個々の症例が多彩であるため臨床トライアルは容易ではなく、今後もEBM作成は困難を極めることが容易に想像できる。
つまり、循環器内科医師の参入は必須と思われるも、先天性心疾患の臨床経験が乏しい循環器内科医師がこの分野に入っていくこと自体が極めて困難な状況であった。そこで、東京大学医学部附属病院循環器内科(東大循環器内科)は、こういった種々の問題点の解決を図るべく、2008年4月成人先天性心疾患専門外来を開設した。