心臓CT
心臓CT検査は、X線とヨード造影剤を用いて心臓の血管や構造を調べる低侵襲な検査法です。当院で採用している320列マルチスライスCTは低い被爆線量で高い分解能での撮像を実現し、深層学習を応用した再構成技術によって質の高い画像診断が可能です。近年、こうした技術の進歩によってこれまでカテーテル検査によって行われていた虚血性心疾患の冠動脈評価も、心臓CT検査によって代用できる例が増えてきました。また、大動脈弁狭窄症などの構造的心疾患 (いわゆるstructural heart disease)のカテーテル治療の適応検討、心房細動をはじめとする不整脈疾患の治療前の解剖学的評価や血栓チェック、先天性心疾患の心内構造精査など、様々な心臓疾患の診断や治療の過程において心臓CTは非常に重要な検査であり、その適応はさらに拡大していくことが予測されます。
心臓MRI
心臓MRI検査は、放射線を使わずに心臓の機能評価ができる非侵襲的な検査で、リアルタイムに心臓の動きや血液の流れを把握できます。遅延造影像では造影剤が心筋に蓄積する様子が観察でき、特定の心筋症の検出や心筋障害の程度が評価可能です。さらに心筋のT1緩和時間を定量化するT1 mappingは、炎症、浮腫といった心筋の異常や、心アミロイドーシスなどの心筋症をより早期に検出します。先天性心疾患における位相画像法による血流解析は、血流の異常や弁逆流を分析することで、治療計画に役立ちます。以上のように心臓MRI検査は、心筋症、弁疾患、心筋炎、先天性心疾患など多岐にわたる循環器疾患の診断と治療方針の決定において非常に有用です。